小学生の頃たまたま見てしまったお母さんのB5ノートびっしりに書かれたあまりに辛すぎる日記を見てから、母親の辛そうな姿を意図して避けるようになった。わかりやすく遠回しに言う嫌味や愚痴に敏感になって、言われないように先まわりして終わらせるようになった。お母さんに言われて1番嫌だったのは「もっと辛い子もいるんだから、あなたは恵まれてるのだから」という呪いだった。母いわくそれは、だから大したことないでしょ、前向きになれるでしょ、ということだったらしいのだが(今聞くと)そんな受け取り方を出来なかった小学生の私は、辛いと言うのすら嫌になった。今でもまだうっすらと残る呪いが、刺さったままの小さな棘のように気味悪くあって居心地が悪い時がある。人の顔色を伺って穏便に過ごそうとするくせはこの位の時からな気がしなくもない。
それがどうとか、だから親が嫌いとかそういうことは全くなくて、私は母も、もちろん父も大好きだし、家族のことは大事に思っている。ただ、小さかった時の私が見た、母のあまりにもリアルすぎる真っ黒な日記は、未だに鮮烈に脳裏に焼き付いていて、時々なんでもない時に思い出しては身震いをするような、その程度の出来事を少しだけ私の内側から外側へ、出してみたくなっただけでした。